
近年、日本の労働力不足は深刻な問題であり、多くの企業が外国人材の受け入れを進めていますが、特定技能制度と技能実習制度の違いがよくわからない方も多いでしょう。
この記事では特定技能と技能実習の違いを比較し、技能実習から特定技能へ移行するための具体的な方法について詳しく解説します。最後まで読めば、制度への理解が深まり、自身や自社にとって最適な判断ができます。ぜひ参考にしてください。
特定技能制度は国内人材の確保が難しい産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とした在留資格です。特定技能の在留資格には、特定技能1号と特定技能2号があり、対象の業務や在留期間などが異なります。ここでは特定技能について、さらに詳しく解説します。
特定技能1号と2号の主な違いは、求められる技能水準・在留期間・家族帯同の可否です。
特定技能1号は、特定の産業分野で知識や経験を必要とする技能を持つ外国人向けの資格です。在留期間は、通算上限5年で原則として家族の帯同は認められません。
一方、特定技能2号は特定技能1号を修了し、さらに熟練した技能を持つと認められた外国人向けの資格です。在留期間の上限はなく、要件を満たせば家族の帯同もできます。
1号は特定の技能を持つ即戦力、2号はさらに高度な専門性を持つ人材といえるでしょう。
● 介護
● 外食業
● 自動車整備
● 航空
● 宿泊
● ビルクリーニング
● 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
● 建設
● 造船・舶用工業
● 飲食料品製造業
● 農業
● 漁業
また2024年3月29日の閣議決定により、下記4分野の追加が決定されました。
● 自動車運送業
● 鉄道
● 林業
● 木材産業
対象分野の基準告示が施行された日から、受け入れを開始できます。
出典:特定技能ガイドブック(出入国在留管理庁) (https://www.moj.go.jp/isa/content/930006033.pdf)
技能実習生は、日本の企業で働きながら実践的な技能を習得し、帰国後に母国の発展に貢献することが期待されます。この制度を通じて、多くの外国人が日本の技術や文化に触れる機会を得ています。
技能実習生が従事できる職種と作業は、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令で定められています。技能実習生の受け入れ可能職種は、以下の91職種・168作業です。(2025年5月時点)
出典:出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(https://laws.e-gov.go.jp/law/402M50000010016/)
出典:技能実習制度 移行対象職種・作業一覧(91職種168作業)(https://www.mhlw.go.jp/content/001165663.pdf)
● 農業関係
● 漁業関係
● 建設関係
● 食品製造関係
● 繊維・衣服関係
● 機械・金属関係
● その他(家具製作・印刷など)
● 社内検定型の職種・作業
たとえば、農業分野では耕種農業(施設園芸・畑作・野菜・果樹)や畜産農業(養豚・養鶏・酪農)があり、建設分野ではさく井・建築大工・左官などがあります。食品製造分野では缶詰巻締・パン製造などが対象です。これらの職種で、実習生は日本の技術を学びます。
政府は技能実習制度を廃止し、新たに育成就労制度を創設する方針を固めました。
技能実習制度は、育成を目的として日本の国際貢献と産業界の人手不足緩和を担ってきましたが、国内の労働力になる部分が大きく、人権侵害などの問題点もあわせて指摘されていました。
大きな変更点は3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで育成することを目指し、同一分野内での転籍制限の緩和や、日本語能力の向上支援などが盛り込まれます。この変更により、外国人労働者のキャリアパスの明確化と、よりよい労働環境の提供が期待されます。
特定技能と技能実習は、どちらも外国人が日本で働くための制度ですが、目的や内容には違いがあります。ここでは、両制度の主な違いを詳しく解説します。
特定技能制度は、国内の人手不足が深刻な産業分野において即戦力となる外国人材を受け入れ、労働力を確保することを目的としています。
一方技能実習制度は、開発途上国等への技能移転を通じた国際協力を主な目的としています。日本で習得した技術や知識を母国に持ち帰り、その国の経済発展に貢献する人材を育成するための制度です。
特定技能制度で受け入れができる職種は特定技能1号が12分野、特定技能2号が11分野と定められています。(2024年5月時点)
一方技能実習制度は、受け入れが91職種168作業で農業・漁業・建設・食品製造・繊維・衣服・機械・金属など広範な分野をカバーしているのが特徴です。
出典:「特定技能2号の対象分野の追加について」(出入国在留管理庁) (https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/03_00067.html)
出典:技能実習制度 移行対象職種・作業一覧(91職種168作業)(https://www.mhlw.go.jp/content/001165663.pdf)
求められる人材の技能水準も、特定技能制度と技能実習制度で異なります。特定技能制度は、一定水準以上の知識または経験を有していることが求められます。
一方技能実習制度では、実習生に対して特定の技能水準は基本的に求められません。日本で技能を習得していくことが前提となっているためです。
ただし介護職種のみ、円滑なコミュニケーションのために日本語能力試験N4程度の日本語能力が必要とされています。
特定技能の場合、特定技能1号の在留期間は通算で最長5年です。その後、特定技能2号へ移行できれば在留期間の上限はなくなり、定期的な更新で永続的な滞在もできます。
一方、技能実習の在留期間は技能実習1号が1年以内・技能実習2号が2年以内、技能実習3号が2年以内と段階的に設定されており、合計で最長5年です。
特定技能制度は就労を目的とした在留資格であるため、同じ業務区分内へ転職できます。労働者はよりよい条件やキャリアアップを目指して職場を変更できるのが特徴です。
一方、技能実習は特定の企業で技能を習得する実習が目的であり、原則として転職は認められていません。
特定技能外国人を受け入れる際には、企業が直接海外の求職者を採用したり、国内外の職業紹介事業者を利用したりするなど、さまざまな方法で採用活動を行えます。この柔軟性は、企業が自社のニーズに合った人材を確保しやすくなるメリットといえるでしょう。
一方、技能実習生を受け入れる場合、企業は海外の送り出し機関と提携している日本の監理団体を通じて紹介を受けます。監理団体は、実習生の入国から帰国までの一連の手続きや、実習実施者への指導・監督を行います。
特定技能制度では建設分野と介護分野を除き、原則として企業ごとの受け入れ人数の上限は設けられていません。企業は事業規模や必要性に応じて、必要な数の特定技能外国人を受け入れられます。
一方、技能実習制度では、常勤職員数に応じた受け入れ人数枠が細かく定められています。これは、実習生に対する適切な指導体制を確保し、実習の質を担保するためです。
特定技能1号の外国人は、原則として家族帯同は認められていませんが、特定技能2号を取得している外国人の場合は、要件を満たせば配偶者と子の帯同が可能です。
技能実習制度では制度の目的が技能移転であり、実習終了後の帰国が前提とされているため、家族とともに滞在することは許可されていません。
家族帯同の違いは日本での長期的な生活を考える外国人にとって、特定技能2号を目指す動機のひとつになるでしょう。
特定技能制度と技能実習制度は、給与水準と受け入れにかかる費用も異なります。
特定技能外国人の給与は、同等の業務に従事する日本人と同等以上の水準が求められます。登録支援機関に支援業務を委託する場合、月額20,000円〜35,000円 ほどの支援委託費用が発生します。さらに建設分野 など一部では、業界団体への協議会費用が必要になる場合もあります。
技能実習生の給与は日本の労働基準法が適用され、最低賃金以上の支払いが義務付けられています。実習の段階に応じて昇給することが一般的です。また、受け入れ企業は監理団体に対して監理費を支払う必要があり、月額30,000円〜50,000円 ほどが相場です。
技能実習制度で日本に滞在している外国人にとって、特定技能への移行はキャリアアップの重要な選択肢のひとつです。この移行制度は、日本での継続就労を希望する技能実習生に大きなメリットがあるだけでなく、受け入れ企業にとっても育成した人材を雇用できる利点があります。
ポイントは技能実習2号を2年10か月以上 、良好に修了していることです。要件を満たした技能実習生は、技能実習で従事していた職種と同一の分野であれば、特定技能1号へ移行する際に求められる技能試験と日本語能力試験が免除され、試験準備の負担なくスムーズに移行できます。
技能実習2号の在留期間が満了する前に、本人の住所地を管轄する地方出入国在留管理局に対して、在留資格変更許可申請書と特定技能1号の取得に必要な各種書類を提出します。必要な書類には、技能実習の修了を証明する書類や新たな受け入れ機関との雇用契約に関する書類などが含まれます。
申請が許可されれば在留資格が特定技能1号に変更され、引き続き日本で働けます。
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特定技能と技能実習は、制度の目的・対象者・在留期間・転職の可否など多くの点で異なります。技能実習が国際貢献を目的とした人材育成であるのに対し、特定技能は国内の人手不足解消を目的とした即戦力人材の受け入れ制度です。
また技能実習2号を問題なく終えている場合は、試験免除で特定技能1号へ移行できる可能性があります。
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