特定技能14業種(12分野)の職種や受け入れ人数と現状まとめ | にほんのしごと

近年は各業界で労働者の人手不足が問題となっており、積極的に海外出身の労働者の受け入れを行っている企業が増えています。日本で海外出身の労働者が働くためには在留資格が必要ですが、在留資格のなかでもとくに注目を集めているのが特定技能です。

今回は、そんな特定技能の対象業種や、それぞれの業界の現状について解説します。日本での就労を検討している海外出身の労働者のみなさんは、ぜひ参考にしてください。

在留資格の特定技能14業種

特定技能とは、2019年に創設された人手不足とされている12分野14業種で海外出身の労働者が就労可能な在留資格のことです。希望者すべてが取得できるものではなく、即戦力として一定の業務をこなせると判断された外国籍の労働者のみ取得できます。

具体的な特定技能の対象となっている12分野14業種は、以下のとおりです。

介護

在留資格を得るためには、介護技能評価試験と2つの日本語試験に合格しなければなりません。特定技能の取得が認められると、日本の介護事業所で最大5年間働くことが可能です。

5年経過したら基本的に帰国しなければなりませんが、その間に介護福祉士の国家資格を取得すれば、永続的に仕事ができます。

業界の現状

介護は、現在日本の少子高齢化の影響を大きく受けている業界のひとつです。働き手の数は減少しているにもかかわらず、介護を必要とする高齢者の数は現在も増加を続けています。

そのため、業界全体で人材を確保するためにさまざまな試みを行っており、外国籍の労働者の受け入れもそのひとつです。

言語や文化の壁など、解決すべき課題は依然として残されていますが、今後外国籍の介護職員の受け入れはさらに進むでしょう。2024年以降5年間の受け入れ見込み人数は、最大で135,000人と非常に大規模なものです。

宿泊業

特定技能を取得している外国籍の労働者は、宿泊施設におけるフロントや接客、企画など宿泊サービスの提供に関係する業務に従事可能です。

特定技能を取得するためには、日本語能力試験のN4以上に合格し、かつ技能評価試験に合格しなければなりません。

業界の現状

日本のホテルや旅館はハイレベルなサービスを提供するために、ハードワークを求める傾向があります。仕事が忙しい割に給与水準もよくないため、日本における宿泊業の人気は高いとはいえません。

とくに大都市では常に人手不足が続いており、通常の業務スキルに加えて、複数言語を扱える外国籍の労働者の需要は高まっています。2024年以降5年間の受け入れ見込み人数は、最大で23,000人とされています。

外食業

対象となる業種は食堂やファストフード店、カフェなどの飲食店で、外食業者の対象となるはずのコンビニ業種は対象外となっています。

特定技能を取得した外国籍の労働者は、調理や接客以外にも店舗管理や原材料の仕入れ、配達などの仕事に従事することが可能です。ちなみに、雇用形態は直接雇用以外認められていません。

業界の現状

外食業は、賃金の低さやコロナによる他業界への人材の流出などを原因とする、非正社員の人手不足が問題となって久しいです。即戦力としてのスキルが確約されており、短期間での離職のリスクも少ない外国籍の労働者に対する注目と期待が高まっています。

特定技能を取得できれば就労時間の制限を受けず、日本人と同じように労働基準法の範囲内で働くことが可能です。2024年以降5年間の受け入れ見込み人数は、最大で53,000人です。

ビルクリーニング

ビルクリーニングの特定技能の所有者は、事務所や学校、興行場、店舗など、不特定多数の人が利用する建築物の清掃業務に従事できます。

雇用体系としては原則的に直接雇用に限られており、派遣雇用は許可されていません。また、一定の範囲であれば、ホテル客室のベッドメイク作業も可能です。


業界の現状

建築物を衛生的に維持する業者のニーズは増加しています。しかし、現在ビルクリーニング分野に従事している労働者の約4割は高齢者です。そのため、将来的には人材不足がさらに加速すると予想されています。

2019年以降厚生労働省もビルクリーニング分野の特定技能労働者の受け入れに注力しており、今後はさらに外国籍の労働者の数も増加するでしょう。2024年以降5年間の受け入れ見込み人数は、最大で37,000人となっています。

製造業

特定産業分野に属する知識や経験を必要とする技能、またより熟練した技能を有した外国籍の労働者が取得可能です。該当業務以外の関連業務、たとえば原材料となる部品の調達や運搬、各職種の前後工程作業などは、付随的な従事のみ認められています。

また、外国人を受け入れる企業は日本語教育をはじめ、法律で定められた支援を実施できる体制をあらかじめ整えておかなければなりません。

業界の現状

製造業はかつて日本を代表する産業でしたが、昨今は働き手の高齢化も進んでおり、業界全体の人手不足が深刻化しています。2024年以降5年間の受け入れ見込み人数が最大173,300人と非常に大規模であることからも、業界の人手不足が窺えるでしょう。

近年はIoT機器やロボットの導入によるICT化をはじめ、従業員が少ない状況でも仕事を進められるような仕組みづくりが進んでいますが、依然として働き手の存在は重要です。今後労働環境が整えば、外国籍の労働者の積極的な製造業への参入が進むと予想されます。

建設業

建設業の特定技能を取得している外国籍の労働者は、型枠施工や左官、建設大工などさまざまな建設分野で即戦力となることを期待されています。

外国籍の労働者を受け入れる企業側は、建設キャリアアップシステムの加入や建設人材機構の会員、または賛助会員入会などが必要です。


業界の現状

建設業は、少子高齢化の大きな影響を受けている業界のひとつです。働き手の高齢化が進み、労働人口の大幅な減少や技術の継承が途絶えてしまう可能性が危惧されています。

とくに昨今は、大阪万博やリニア中央新幹線などの影響で建築業の需要は緩やかに拡大しているため、外国籍の労働者の重要度はより高まるでしょう。

2024年以降5年間の受け入れ見込み人数は、最大80,000人となっています。


造船・舶用業

現在外国籍の労働者が造船、および舶用業において就業可能な業務は溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、そして電気機器組立ての6区分になります。

ちなみに、同一の業務区分内、または試験結果から技能水準の共通性が確認されている業務区分間であれば、転職も可能です。

業界の現状

造船、および舶用工業の大半は、地方に拠点を置いているケースがほとんどです。ご存知のとおり近年は都市部への人口の流出が問題となっており、働き手を確保するのが難しくなっています。

頼りの外国籍の労働者も、特定技能の制度が始まってから2022年3月時点で1,971人しか集まっていません。そのため、今後はさらに外国籍の労働者の受け入れを推進していく必要があるといえるでしょう。2024年以降5年間の受け入れ見込み人数は、最大36,000人です。

自動車整備業

自動車整備は、国土交通省が管轄している自動車整備分野における在留資格です。自動車整備の特定技能を所有している外国籍の労働者は、日常点検整備や定期点検整備、分解整備に従事できます。

ちなみに、自動二輪の整備も特定技能の対象です。ただし、勤務している整備工場が、自動二輪車を対象とした整備事業を行うための認証を地方運輸局長から受けていなければなりません。


業界の現状

国家資格を保有する自動車整備士はなり手不足や整備士の高齢化、そして離職率の高さなどによって10年間に約1.2万人減少しており、人材不足が深刻化しています。2024年以降5年間の受け入れ見込み人数は、最大10,000人となっています。

自動車整備士が不足すると、整備に時間がかかる、不正車検が増えるなどのトラブルを引き起こし、重大な事故を引き起こす可能性が高まるでしょう。そのため、業界全体で特定技能制度によって来日する外国籍の労働者に対する期待が高まっています。

航空業

外国籍の労働者は空港グランドハンドリング業務、および航空機整備業務に従事できます。また、事務作業や除雪作業などの関連業務は認められていますが、関連業務のみの作業は認められていません。

業界の現状

航空分野は、コロナによるパンデミックが落ち着いた影響で外国人旅行客が増加しており、人材不足が深刻化しています。そのため、国土交通省では新たな人材の確保と離職率の低下のために、現在賃金水準の改善や労働条件、および職場環境の改善を推進中です。

空港では複数言語を話す機会も多いため、外国籍の労働者の存在は人材不足を改善する以上の効果をもたらすと期待されています。2024年以降5年間の受け入れ見込み人数は、最大で4,400人です。

農業

特定技能を有した外国籍の労働者が従事できる仕事は、主に2種類です。ひとつは畑作や果樹作業に代表される耕種農業、そしてもうひとつは養豚や養鶏、酪農などの畜産農業になります。農業に関しては、雇用形態は直接雇用のみならず派遣でも問題ありません。

業界の現状

農業は少子高齢化、および後継者不足によって現在働き手が減少している状態が続いています。農業は農地確保や水利権獲得の難易度の高さをはじめ、新規参入が困難です。

そのため、すでに農業に関する知識や技術があり、即戦力となる外国籍の労働者の存在は今後重要性も増していくでしょう。2024年以降5年間の受け入れ見込み人数は、最大78,000人となっています。

漁業

外国籍労働者に任せられる仕事として、漁業と養殖業の2種類が挙げられます。外国籍の労働者に対する不当な扱いを防ぐために、受け入れ先は労働環境や生活環境の整備をしなければなりません。

業界の現状

日本は水資源に恵まれた島国ですが、2003年から2020年にかけて漁業関連の就業者は23.8万人から13.6万人にまで減少しています。

漁業は日本の食文化にも関わる重要な産業のため、外国人労働者の受け入れを含め、労働者を確保するための手段の模索は積極的に進められるでしょう。2024年以降5年間の受け入れ見込み人数は、最大17,000人です。

飲食料品製造業

飲食料品製造業は、特定技能のなかでも飲食料品の製造に特化した分野です。従事できる業務は、食料品製造業をはじめ7種類あります。

以前は飲食料品製造業の特定技能に2号はありませんでしたが、2023年に対象分野が拡大して2号が追加されました。

業界の現状

現在あらゆる産業分野で人材不足が指摘されていますが、飲食料品製造業も例に漏れず厳しい状況が続いています。

そのため、現状を打破するべく2022年の見直しによって、飲食料品製造業における特定技能の受け入れ人数は8万7200人に変更され、さらに2024年には、以降5年間の最大見込み人数が139,000人まで引き上げられました。

まとめ

以上、特定技能の対象業種や、それぞれの業界の現状について取り上げてきました。日本の少子高齢化にともなう人口減少問題は、すでに簡単に解決できない段階に到達しており、外国籍の労働者の重要性は今後さらに高まると予想されています。

一方で、外国籍の労働者を対象とした労働力の搾取も懸念されており、労働環境や人材紹介サービスの整備を進めなければなりません。

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